医学科第6学年で「長期滞在型臨床実習 (LIC)」を導入

 手机上买足彩的app7年、医学科第6学年選択臨床実習(CC2: Clinical Clerkship 2)においてLongitudinal Integrated Clerkship(LIC)が導入されました。LICは米国、 オーストラリアを中心に世界的な広がりを見せている長期滞在型臨床実習です。日本国内では富山大学、三重大学、宮崎大学などで導入され始めましたが、大都市圏にある大学では本学が国内で初めての導入になります。今回のLICには、新潟県の5施設、茨城県の1施設と連携し、6名の6年生が参加しました。

 通常、CC2では学生が選択した診療科を4週間=1クールとして6か月半ラウンドします。LICでは、希望者を対象として1診療科(基本的に総合診療科)に12週間滞在し、入院患者の担当、外来診療、訪問診療など初期研修医とほぼ同等の役割を与えられます。単独の診療科における臨床実習を長期間にわたって経験することで、2ヶ月程度の入院を要する症例の入院から退院まで(場合により退院後の訪問診療まで)の継続した診療、基本的な診療手技の日常的な反復、臨床現場における他職種や自治体との共同による地域医療活動への参加などにより、初期研修医相当の臨床能力を身につけることも十分に期待されます。今回のLICでは、外来診療、病棟主治医、救急医療におけるファースト?タッチなどを実習中に経験し、外科手術のオペレーターを経験した学生もいました。欧米におけるLICの教育効果に関する研究においても、common diseaseの診療機会の増加、基本的診療手技の習熟、地域医療への参加、患者?医療スタッフとのコミュニケーション能力の向上、学力の向上などが報告されています。

 実際、LICの期間中にオンラインで学生と面談した際に、参加メンバーの表情だけでなく、話し方や雰囲気が3週間程度で大きく変化したことに驚きました。自分の臨床科(産科?婦人科)で多くの臨床研修医?専攻医と接してきましたが、彼らに医師としての自覚が芽生え、ある程度自信がついてくると、ある日突然、表情や話し方、雰囲気が変化する瞬間に遭遇することがあります。その変化に非常によく似ていたのです。それを見た時にLICの学習効果を確信できました。

 しかし、LICは学生全員に必修化できるようなプログラムではありません。臨床の現場に入って実臨床で活躍するプロフェッショナルと協働するために日々の学習や努力が要求され、それはまさに研修医レベルです。その努力はいずれ経験することになりますが、学生の間に経験し、卒後、より良い医師を目指す諸君にはLICは大きな成果を提供できるでしょう。今後、今回の改善点を踏まえ、大学内と実習先の病院、参加学生諸君との連携をより強化する予定です。自らの研鑽を強く願う学生諸君の積極的な参加を期待しています。

(医学?看護学教育推進センター 野平知良)

村上総合病院での長期滞在型臨床実習――可能性に満ちた3ヶ月 (医学科第6学年 村岡 暁)


 私は2025年3月31日から6月20日まで、新潟県のJA厚生連村上総合病院にて長期滞在型臨床実習(Longitudinal Integrated Clerkship:LIC)を行いました。LICは大学での実習とは異なり、初めて訪れる病院において1人で3か月間の臨床実習を行うもので、本学では初めての試みでした。
 村上総合病院は人口約5万人をカバーする新潟県下越地方最北の総合病院で、病院のある村上市は「鮭?酒?なさけ(人情)」で表される街です。言葉通り人情にあふれ、病院職員の皆様も温かく、全職種の方々から熱心なご指導を賜りました。
 LICの魅力は、患者さんの受診から入院、退院、外来フォローまでを一貫して経験できることです。患者さんの診療に携わり、特に受け持ち患者さんについては治療方針や退院支援を考える中で、地域に暮らす方々と医療について深く向き合う機会を何度も得ました。また、診療チームの一員として、職員の方々と信頼関係を築きながら診療に参加できることも大きな魅力の一つです。各種手技の習得に努めながら、外来や救急診療をはじめとした診療業務に貢献できる場面も多く、学びの可能性は無限であると感じました。院内外で実習として経験したことは多岐にわたり、とても書き尽くせるものではありません。そんな東京とは異なる地域医療に携わる中で、今後の学びの視点や初期研修2年間の過ごし方の指針を得ることができました。
 こうした貴重な経験は、指導医やコメディカルの皆様のご理解と手厚いご指導があってこそ実現したものです。次年度は多くの後輩がLICに挑戦すると聞いています。3か月は長いようで短い期間です。ぜひ感謝の気持ちを忘れず、主体的に取り組んでほしいと思います。
 最後に、村上総合病院院長の杉谷想一先生をはじめ、指導医?研修医の先生方、ご指導くださった全職員の皆様、そして地域で温かく接してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

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初診外来(発熱外来)での患者問診?診察の様子
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救急患者受け入れ時の様子(指導医、看護師、院内救急救命士、消防の救急隊員とともに)
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粟島(無医村の離島)での島民健康診断の様子(採血ブースを担当)

長期滞在型臨床実習報告 ~地域医療に貢献できる医師をめざして~ (医学科第6学年 東郷 一真)


 長期滞在型臨床実習(Longitudinal Integrated Clerkship:LIC)が本年度より、医学科第6学年の臨床実習として開始されました。長期に滞在して外来から、入院、退院といった診療の流れを経験するとともに、医療スタッフの一員として診療に関わっていく実習です。3月31日から6月20日までの12週間、筑波記念病院(茨城県つくば市)で実習させていただきました。
 実習は、一般内科、消化器内科、救急科、小児科と、私の志望に合わせて柔軟にローテーションを組んでいただき、とくに手技の経験を多くさせていただきました。超音波検査をはじめ、導尿、採血、静脈路確保、皮膚生検と経験させていただきました。また、学生が実際に行うことが難しいときには助手として補助に入り、見学させていただきました。
 そして、チームとしての診療をこれまでの臨床実習以上に学ぶことができました。リハビリテーションにつかせていただいたときには、理学療法士、作業療法士の方が、動作の合間にコミュニケーションをよくとられていて、世間話もしながら和やかにリハビリテーションをされていました。回診のときには気がつかなかった患者さんの様子を拝見しました。
 さらには地域医療について学ぶことができました。私は茨城県の地域枠修学生として入学しており、卒業後は茨城県で地域医療を担っていく所存です。自由な学び系科目として開講している地域医療リーダーズコースを履修し、また出身地が近いこともあり地域の医療については分かっているつもりでした。しかしながら、実際に診療に関わることで地域医療に対する認識が深まりました。大変さもありますが、やりがいも感じ、地域医療を支えるためにどのようにしたらよいかと、将来について考える機会となりました。
 末筆にはなりますが、実習を受け入れてくださいました筑波記念病院の小關剛理事長はじめ、先生方、スタッフの皆様に感謝申し上げ、謝辞といたします。

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実習先の筑波記念病院
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年間6,000件の救急搬送を支えるドクターヘリと救急車

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